ChandraGiri SLN 13:アラビカの繊細さとロブスターのタフさを備えたハイブリッドコーヒーの星!
アラビカの芳醇な風味とロブスタの力強さを融合させた、個性あふれるハイブリッド品種「チャンドラギリ SLN 13」。 その誕生の背景から、病害への強い耐性や高い生産性といった利点、そしてインドコーヒーにおける重要性までをご紹介します。
HBC
8/10/20251 分読む


コーヒー愛好家として、コーヒーの木の品種は気になる項目です。
今日はインドコーヒー界で注目の品種、ChandraGiri SLN 13について深く掘り下げてみたいと思います。アラビカとロブスタ、それぞれの遺伝的な強みを受け継いだこのハイブリッド品種の魅力を紹介します。
ChandraGiri SLN 13 — 特別な血統の物語
ChandraGiri SLN 13は、単なる「アラビカ品種」と呼ぶにはあまりにも複雑で興味深い背景を持っています。この品種は、Villa Sarchi(ビジャ・サルチ)とHibrido de Timor(HdT/イブリド・デ・ティモール)を交配して誕生したハイブリッド品種です。
Villa Sarchi(ビジャ・サルチ): アラビカ・ティピカ系統の自然変異種で、生産性が高く、良質なカップ品質を誇ります。ChandraGiri SLN 13には、アラビカらしい繊細な風味と優れた生産性を受け継がせました。
Hibrido de Timor (イブリド・デ・ティモール): アラビカとロブスタが自然交配して生まれた品種。ロブスタの遺伝子を受け継ぎ、コーヒーリーフラスト病(Coffee Leaf Rust)への強い耐性を持ちます。HdTはアラビカ系品種に病害抵抗性をもたらす重要な要素を受け継がせました。
この血統から、ChandraGiri SLN 13はサルチモール(Sarchimor)系統に分類され、アラビカの風味とロブスタの強靭さを兼ね備えた多才な品種として評価されています。
ChandraGiri SLN 13が持つ大きな利点
この品種が生産者とロースターの双方から愛される理由を挙げてみます。
優れた病害耐性: HdT由来の遺伝的特性により、コーヒーリーフラスト病などの致命的な病害に非常に強い。これにより安定した収穫が可能になり、農薬使用量を減らせるため、環境にも優しい栽培が可能です。
高い生産性と収穫量: Villa Sarchi系の特徴である高い生産性を受け継ぎ、農家の収入向上に直結します。
幅広い環境適応力: 純アラビカ品種に比べ、より多様な気候・土壌条件に適応可能で、新しい産地開拓の可能性を広げます。
良好なカップ品質: 最上級のアラビカほど繊細ではないものの、バランスの取れた風味でスペシャルティ市場でも十分評価されるポテンシャルがあります。
考慮すべき課題
どんな品種でも長所もあり短所もあるものです。チャンドラギリ品種にも注意点があります。
風味の複雑さの限界: 最高級アラビカが持つ繊細な酸味や複雑なアロマには一歩及ばない場合があります。
市場の先入観: ロブスタ遺伝子を含むハイブリッド品種に対する偏見が一部に存在(近年は品質評価の向上と共に改善傾向)。
高得点獲得の壁: カッピングで80点台半ばは十分可能ですが、90点以上の常時獲得は難しい場合があります。
現代のコーヒー農業における現実的な選択肢
ChandraGiri SLN 13は、気候変動や病害リスクが高まる現代において、非常に現実的かつ有望な選択肢です。
農家には安定した収穫と持続可能な栽培環境を、消費者には良質なコーヒー体験を提供します。
特にインド北部、西ベンガル州のカルンポンやダージリンでは、高品質コーヒーの新たな生産拠点として注目され、地域経済の活性化にも貢献しうる品種です。
私たちGlobal Trade Bridgeが進めるパイロットプログラムでも、この**ChandraGiri SLN 13(Villa Sarchi × Híbrido de Timor)**を重点的に扱っています。この品種の可能性を最大限に引き出し、ロースターや輸入業者の皆様に安定供給できるインド産プレミアム・アラビカをお届けするべく取り組んでいるので、ご期待お願いしたいところです。
インドコーヒーの未来を担うChandraGiri SLN 13。皆さまのご意見・ご感想をお待ちしています!
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